2012年07月22日

高専推薦選抜試験4(総集編)


オープンキャンパス以前にエントリを上げて以来、ちょっとすることがあって放置していた。
家族のことや仕事のことなど、することは案外多いものだ。
その中でも今、大きく心を占めているのは長女の勉強のことだ。成績表的には評価は申し分ない成績と言って良いが、個人的に気になる問題があることが(ある)実力テストと学期末テストでわかった。
現在、これを補完すべくオレと長男で指導しているのである。特に夏休み中にやっておかないと、今後の学業で本人が辛いことになってくるかも知れないだけに、何よりもそちらが優先されていることが、このブログの放置の理由だったことをお詫びしたい。
恐らく、進路希望を含めた三者面談があって、志望する高校を絞り込んだ後だと思われるが、本当ならば面談時期に入る前に、集中的にアップしようと思っていた記事がそのままになっていた。
期待していた人がいるのかは疑問だが、そういう方にもお詫び申し上げたい。

さて、これまでに3回にわたって大分高専の推薦選抜試験に触れてきた。
過去記事は

高専推薦選抜試験
高専推薦選抜試験2(口頭試問編)
高専推薦選抜試験3(面接編)


以上を参照されたい。

これらの記事内でも述べたことだが、高専における推薦選抜の合格基準はいまいちハッキリとしていない。どの高専でも推薦選抜の試験内容は小論文、口頭試問、面接を行っているが、その配点比率を公開している高専もあれば、大分高専のように「総合的に判断」とぼかしている学校もある。
何れも評価基準はあるわけで、高専という学校の特色上、数学、理科(特に物理)の学力を問うことは当然だ。中学での評定は一定の基準となり得るが、相対評価から絶対基準へ評価が変化したことを受け、中学校間にある学力差を外すためにも「口頭試問」は避けられない。高専サイドの評価値に置き換える作業とも言えよう。
だからかも知れないが、長男は解答が書けなかった問3で解答プロセスの説明を求められた。
しかし、中学での評価にバラツキがあるとしても、評価が114以上の生徒はいわゆる学年トップクラスの生徒であることに疑いはなく、従って口頭試問による合否はほとんどが合格となることは容易に想像できる。
すなわち、小論文と面接が合否に大きく関与しているのではないかと思われた。

これらの試験では点数化が難しい。
こうすれば正解というのも考え難い。
そこでよくあるような受験対策サイトのような解説ではなく、もうちょっと違った角度から各設問について述べてみたい。

平成24年度の小論文は「エネルギー環境問題と経済発展について」がテーマだった。
14~15歳の少年少女には少し荷が重いテーマだと思った。
このようなテーマが設けられた原因に大震災における原発事故とその後の電力不足が大きな影響を与えたと見るのが自然だろう。我が国は工業立国であり経済の根幹を支えてきた。高専の目的は工業立国日本の技術者育成を目的とした教育機関だから、この問題と切っても切れない関係にある。
この学校を目指す諸君は日常でこのような問題をどのように考えているか?
このように質問されているように思われた。
それをわずか原稿用紙1枚あまりに書くというのは、要点を纏める必要があるわけで、考えをシンプルにしていることは必須だ。

このようなテーマが出題される可能性はその前に感じていた。
理由であるが、これは一般選抜でもう一度述べることになるが「社会科」の出題では前年に起きた大きな社会現象をテーマにした問題が出題されることが恒例となっているからだ。しかも、エネルギーの問題は日本の産業に大きく影響する事象だから、テレビや新聞のニュースをみて、自分との関係(将来はエンジニアになりたいんでしょ?)をどのように捉えているかは重要な問題だったのだろう。
そうかと言って、常にこのようなテーマが出題されるわけでもなく「将来の夢」や「いじめ」といった身の回りのことや「技術者に必要な素養」というテーマが出題されたこともある。
こればっかりは事前にわからないからな。
ひとつ言えることは、普段からニュースを見る(読む)習慣を身に付けよう、ということだ。社会科はそれから発展させた問題が出やすいので、自分で関連のある事柄を調べておく必要がある。

面接はこれも正解がやはりない。
そう言ってしまうと身も蓋もないのだが事実だ。
そこで、もしあなたが面接官、要は学校サイドの人だったらどんな人を入れたいか考えてみよう。

入学したら勉強して優秀なエンジニアを目指すこと。そして社会人として学んだことをベースにして、自分で考えチームで協力し貢献できる人材になること。

これはどの学校もそうだけど、最後の部分が最も重要で目指している部分じゃないかな。
高専にしても卒業生として誇れる人材育成が最終目的だということだ。

入学意思があるのにアドミッションポリシーを知らずに受験するだろうか。
もの作りに興味がないのに機械工学科を受験したり、街作りや環境に関心がないのに都市環境工学科を受験したりする生徒を入学させたいだろうか。
入学してどのような人になりたいかビジョンのない生徒をよろこんで受け入れるだろうか。

逆の生徒が欲しいのは誰が考えても理解できるだろう。

総合的に学力が高く、特に数学と理科の成績が良い生徒で、将来、どのような分野のエンジニアになりたいかイメージがあり、すでに下知識のある意欲旺盛な生徒。

これが理想的なのは言うまでもない。

受験する生徒の大半は「ものづくり」が好きで、目的意識の高い子だと思う。それでも受かる子と落ちる子がいる。募集枠より多く志願しているのだから仕方がないのだ。しかも合格の基準は非常に解り辛い。
だから結論として「受かれば儲けもの」と思うしかないのだ。
長男にもそう言っていた。
そして落ちても一般学力選抜に自動的に再チャレンジの権利が与えられる。
そう、ここで終わったわけじゃない。落胆する必要など全くない。

でも、ひとつだけ考えて欲しいことがある。
上記のような理由で面接して落ちた、ということは君の決意や情熱が他の子よりほんの少し少なかったのかも知れないからだ。
長男は推薦選抜に落ちた。
学校から帰ってきた息子は、落第したことを学校で知っていた。特に感情的ではなかったが、心は傷付いていたことだろう。
でも落ちたことをいつまでも悔やんではいられない。1ヶ月も経たない内に学力選抜試験が待っている。
気持ちを入れ替えて貰うために、オレは息子に数学の発展問題集を購入して与えた。
失敗をバネにすべき時が来た。

<追記>
推薦合格の生徒たちが偶然合格したものではない、ということを追記しておきたい。
高専が大学などと同じ「前期後期」の2学期制であることは既に述べたと思うが、前期中間試験が行われた。その試験の上位者は推薦組である。
長男は元々、歴史があまり得意な方ではないが、日本史で点を落とし過ぎて、それが響いた。自分より上の4人中少なくとも3人は推薦合格した学生だということを聞いた。
推薦合格者になるための条件を垣間見たような気がした。とにかく名実共に優秀なのだ。
どのくらい凄いか。
高専は数学が難しいことで有名だ。その中で最も数学が難しいのが情報工学科であるが、その数学がパーフェクトなのだ。数学は思考の学問と言われる。それをパーフェクトにする頭脳の持ち主たち。

そして、もう一点。
来年度の推薦選抜は口頭試問から筆記試験に変更される。
これはオープンキャンパスの学校説明会で説明された。
理由は緊張だそうである。ただでさえ緊張する試験だが、試験官を前に回答し説明する方式は、緊張するな、という方がムリというものだ。事実、実力を発揮できない生徒がかなりいることから、筆記試験を行う方式に変更するそうである。
うちの子は、そろばんの選手として大きな大会にも出て慣れていた筈だが、それでもかなり緊張したそうだ。筆記試験でもそれなりには緊張するとは思うが、来年から少しは緊張の質が変わるらしい。




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Posted by *clear* at 10:44│Comments(2)受験・進路
この記事へのコメント
私の高専では一般入試でも数学が悪いと落とすといううわさがあります。
逆に他が多少悪くても数学がずば抜けているなら取るという噂もあります。

噂と信じたいですが、数学が最下位の生徒でも中学のときの数学の模試は上位2~3割に入っていた実力です。

数学が中学で全体の平均以下の人は少なくとも私の高専には1人もいませんでした。偶然でしょうか?

受験の公平性からすれば許されないことかもしれませんが、そちらのほうが学校のため、本人のためになることはわかっているからです。

数学ができない人が高専に入るのは100%不幸です。電子工作ができても数学ができないなら工業高校に行くか、進学校に行って文系やりながら趣味でやってたほうがシアワセです。

そういう意味で高専の「選別」は理にかなっていると思います。
Posted by 高専卒 at 2012年08月02日 19:55
>高専卒さま

コメントありがとうございます。
詳しいレスは、新たなエントリにて返しましたのでご覧ください。

>高専の「選別」は理にかなっている

その通りだと思います。
高専が行う教育プログラムからすれば、双方にとって「選別」することが不幸にならない正しい選択でしょうね。
でも、ミスはあるんですがw

トコロで高専卒さまは、K島だったりしますか?
深い意味はないのですが、もし良ければそちらの高専事情なんかも教えてくださると嬉しいと思いましたので。
間違いだったらごめんなさい。
Posted by *clear**clear* at 2012年08月04日 17:30
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