2012年10月18日

これの答えおかしくね


学習で大事なのは「学校での授業」なのは言うまでもないことだが、家庭での学習はそれを補完するためにある程度の量が必要だ。
それを助けるために、少しばかりの問題集を購入するのは良いことだと思われる。自己学習の習慣が見に付くし、間違えば何が理解できていないかもわかる。数を解くことで、テストへの心構えもできる。
何より塾より安上がりだし。

以前にも書いたのだが、子どもの問題はオレ自身がかなり作成をしている。ただ、教科によって、作図が多くなったり、表が多くなったりと時間が掛かるし、国語のように教科書に沿ってないと意味のない場合も多い。歴史だと人物の絵を見て誰か答えるような問題も、一々画像を収集して作成するから大量に問題を作成するのは一般人には大変だったりするわけだ。
時間を買う意味で、市販の問題集も併用している。
文英堂の「∑ベスト 最高水準問題集」もそのひとつ。

その地理の問題でちょっとおかしなのがあった。

これの答えおかしくね

P11の16番(難問)だ。
問題は世界地図が載っていて、

右の地図はある主題に基づいてつくられている。その主題を次のア~エの中から1つ選べ。

ア 人口数
イ 人口密度
ウ GDP
エ 国連拠出金

と、このようになっている。
アだが、人口の多い順に中国>インド>アメリカ>インドネシア>ブラジルなのでこれは違う。
イは1位がシンガポールで、アメリカは132位で日本が19位だから、これは全く違う。
ウとエはかなり迷う部分だ。
そもそもエの内訳は中学で教えるんだっけ?
国連の拠出金のランキングは以下のとおり。

順位

国名

分担率(%)

分担金額

(百万未満四捨五入)

1

アメリカ合衆国

22.00

5億6,900万

2

日本

12.53

2億9,600万

3

ドイツ

8.018

1億9,000万

4

英国

6.604

1億5,600万

5

フランス

6.123

1億4,500万

6

イタリア

4.999

1億1,800万

7

カナダ

3.207

7,600万

8

中華人民共和国(中国)

3.189

7,500万(75.4)

9

スペイン

3.177

7,500万(75.1)

10

メキシコ

2.356

5,600万



一見これのように思えるのだが、8位の中国や10位のメキシコが小さ過ぎる。だからエも違う。
消去法で残ったウが正解

となるはずだったのだが、回答を見ると


<解説>日本やヨーロッパ、アメリカなどの面積が広く表わされている。アやウなら、中国が広くなり、イならアメリカが狭くなるはずである。

う~ん、どうなんだろう。
GDPのランキングは

1位

  アメリカ

15,075.68

2位

  中国

7,298.15

3位

  日本

5,866.54

4位

  ドイツ

3,607.36

5位

  フランス

2,778.09

6位

  ブラジル

2,492.91

7位

  イギリス

2,431.31

8位

  イタリア

2,198.73

9位

  ロシア

1,850.40

10位

  インド

1,826.81



とかなり迷うところ。
アメリカは世界のGDPの4分のⅠ近くで、中国や日本が1割前後。トップの10カ国で世界のGDPのほとんどを占めてしまう。
それにしても、この問題は凄く迷うこと間違いない。何故かと言うと「国連拠出金」の割合は国の経済力によって決まるからだ。厳密に言うと国民1人に換算して決定するので、GDP2位の中国はそれほど払っていないが、それを地図から読み取るのは困難だと思われる。
オレはこの問題の正解はウだと思った。
理由はシンプルに地図の出展だ。地図の下に「World Bank World Development report 2009」とある。早い話、世界銀行の報告書なのでエは有り得ないんじゃないかと。そこで、この資料を調べてみると、該当の地図があった。この報告書のXXiページに掲載されている。

これの答えおかしくね


地図のタイトルは

Map G0.4 How markets view the world
A country’s size shows the proportion of global gross domestic product found there


和訳は
地図G0.4 市場に見る世界
各国の大きさは国内総生産の割合を示す

まぁ、こんな解釈でよろしいかと。
ということは、この図版が示しているのはGDPそのもの、つうことだな。
それで文英堂にこの回答は間違ってんじゃないか、とメールを送ったら返事が返ってきた。

以下抜粋
p.11の問16ですが,ご指摘の通り,選択肢ウのGDPが正解でございます。
したがって,この問題の別冊解答p.4での解説も,以下のように訂正いたします。
「アなら中国が広くなり,イならアメリカが狭くなるはずである。ウとエで迷うが,
中国の面積が広いので,ウが正解となる。」


当問題は京都府の立命館宇治高等学校で出題されたようだ。恐らく入試問題だったのだろう。
この問題集にはこういう受験での難問がいくつも収録されているので、じっくり考えて問題を解く場合非常に有難い内容なのだが、今回のような間違いは完全排除が困難なようだ。
実際の入試内容を見ていないので、確かなことは言えないが、この問題は学校側が間違えていた可能性が高そうだ。それらを文英堂側が検証せずに掲載してしまったものと思われる。
もし回答に疑問を感じたら、自分で調べてみることも必要じゃないかな。
とりあえずこの間違いについては現在、正式にアナウンスもなされていないし、購入者に対して追跡することも困難だろう。
ユーザーサイドから「こんなんありました」みたいな情報が共有できる点がネットの優れた部分なんで、露出してみようと思ったわけ。

ところで「∑ベスト 最高水準問題集」はお勧めのシリーズ。特に数学はお勧め。基本的な問題は少ないけど、標準から上の問題が豊富に収録されていて、応用題も多い。難関校を目指しているなら、ぜひ手元に置いておきたい一冊だ。






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Posted by *clear* at 10:18│Comments(0)受験・進路
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