2012年04月28日

大分高専の競争率と偏差値


2012年度の公立高校の推薦選抜競争率一覧である。

【全日制】(別府商業高校を含む)

推薦入試A

推薦入試B

連携型入試

募集人員

志願者数

倍率

募集人員

志願者数

倍率

募集人員

志願者数

倍率

130人

146人

1.12

1,051人

1,213人

1.15

120人

85人

0.71

 



【定時制】

推薦入試B

爽風館特別入試

募集人員

志願者数

倍率

募集人員

志願者数

倍率

24人

4人

0.17

106人

79人

0.75

 


しかし、大分高専の倍率はこれの比ではない。
2012年度は推薦枠40人に対して最終受験者数は99名。倍率は各科合計で2.475倍である。
高専は推薦選抜の不合格者が学力選抜も受けるケースが多いためか、選抜と学力の合計で最終倍率を発表している。
その倍率は2.06倍。
非常に狭き門である。

全国高専合格の偏差値は67から48まであるが、その中でも大分高専は上位高専に入っている。
最新の偏差値をサーチしたんだが、学力選抜直後から少し修正が入ったようだ。最初の発表では大分高専は66、舞鶴は65だったがそれぞれ1下がっていた。特に奈良高専の情報工学は去年の発表では69だったのに、今年は66になっている。随分下がったものだ。熊本高専は複数のデータに開きがあって、ちょっとサーチに梃子摺ったが、この数値で良さそうだ。
全国の高専偏差値と県内の高等学校の偏差値の対応表は以下の通り。

大分高専の競争率と偏差値

最初はHTMLでテーブル組みにしようと思ったんだが、少しばかり問題があって結局イラレで作って画像にしてしまった。
全国の高専でどんな科があるのか、とか大分県の高校と比較してどれくらいの学力があるのか、なんていろいろ客観的に比較できるんじゃないかと思う。こういう表を作る物好きなヤツはそうはいないだろう(笑)
全体的に大分県の偏差値が下がったのだが、例えば新設校時代に受験した元生徒が見た場合、南とか情報科学は随分とレベルが落ちたように感じるかも知れないな。
複数のサイトや塾の情報を確認しながらサーチはしているが、もし間違いなんかあれば教えてくれるとあり難いぞ。それと表をコンパクトにするため「工学」を省略している県もあるが、それは言わなくてもわかるか(笑)

大分高専は高専でも草分け的存在で初期高専である。
高い学力を維持しているのはこういう初期高専ではあるが、比較的レベルが低い、と揶揄されている下位高専でも県内の実業高校のトップと方を並べるレベルで、ほとんどは進学校の学力水準にある。
大分県でトップは上野丘だ。毎年12~3人の東大合格者を出すが、2009年度は22人の合格者を輩出し、九州の公立高校トップになった。
だが全国的に見れば300位に近いところ辺り。今年も全国トップは兵庫県の灘高校で偏差値78。開成、駒場、お茶の水女子、慶応女子と続き偏差値76以上。この辺りのアタマって常人にはもう理解できんだろうね。ある意味「異常レベル」
ウチの長男と仲の良かった子は鹿児島ラ・サールに行ったが偏差値75。上から4ランク目に数えられるハイレベル校だ。この子のお母さん曰く「アタマの良い子はヘンタイ」と言っていた。親ですら理解不能という意味だ。心境はわからないでもない。
さて、大分高専では全学科同じ偏差値となっているが、一般に難易度は情報工学科、電気電子工学科、機械工学科、都市環境工学科の順だとされている。そのため情報工学や電気電子工学を諦めて機械工学や都市環境工学を志望するケースも少なくないという。
高専の独自さは試験にも表れている。
公立高校は最近では一部の高校においては独自の問題を出題することも出てきているが、基本的には全県共通の試験を受けている。
高専の場合は試験内容が異なり、高専機構が問題を作成して、全国の高専で共通の問題を一斉に受験する。もちろん出題範囲は公立と同じだが、高専独自のユニークな問題で、特に重視されている数学は公立の数学より難問化している。
特に12年の数学はここ最近では見られなかった高度な図形問題が出題された。
分かり易くいえば灘高校などの難関高校で出題されるような問題に似ている。
英語も非常に長文で、回答は選択式ではあるがその文を読むだけでもかなり時間を要する問題である。
こういうことから、偏差値を公立高校と単純比較して考えるのは、ある意味危険かも知れない。これは個人的な意見だが、合格のラインは舞鶴ではなく上野レベルでないと余力がないのではないかと考える。少なくとも数学、理科、英語で常に定期テストが90点以上であれば、かなり受験は有利だろう。少なくとも舞鶴をブッチギリで合格する実力が必要に思われた。
高専の学力選抜は今後、難問化する傾向ではないかと思われる。
一時は定員割れした時期もあったが、現在の競争倍率はご覧の通り。受験者が増えたのにも理由はあるが、高専サイドが抱えている問題もあり中々簡単に説明できるものでもない。
ここには高専が設置された理由と今後目指す高専のあり方が絡んでいる。

<偏差値とは>


知らない人はいる?
一応、簡単に解説な。
偏差値というのは平均点からどれくらい離れているかの指標を数値化したものだ。

(得点-平均点)÷標準偏差×10+50

例えば、あるテストの平均点が60点だったとする。自分も60点だったら偏差値は50ということになる。それよりも高得点になればなるほど偏差値は上がり、逆なら下がる。
だから全体の平均点が下がって40点だと、同じ60点でも偏差値が変わることになるわけだ。母集団によって値が変化するので100以上や0以下も当然ないわけじゃないが、まず滅多にお目には掛かれない。
正規分布だと割合は以下のようになる。

偏差値40以上60以下は、全体の約68.3%
偏差値60以上(あるいは40以下)は、全体の15.866%
偏差値70以上(あるいは30以下)は、全体の2.275%
偏差値80以上(あるいは20以下)は、全体の0.13499%
偏差値90以上(あるいは10以下)は、全体の0.00315%
偏差値100以上(あるいは0以下)は、全体の0.00002%


偏差値はアテにならない、という人がいるんだが、オレはある程度アテになると考えている。
通常、正規分布であれば極端な偏差値は出てこないんだな。というより、多少の上下はあっても分布はいつも似たカタチになる。
つまり、合格偏差値スレスレの場合は判断材料にするには弱いというのが正しい。上野丘の合格平均偏差値は68だから常に68~69辺りならまず合格するだろうが、65くらいだと不透明だろうって話だな。70クラスだと、合格云々じゃなく何位で入るかに関心が移るだろう。
偏差値の良い所は、現在の実力が全体でどの位置にいるかわかることだ。勉強してテストの点が上がったとしても、周りはもっと上がっている場合、偏差値が下がって実力が落ちたことがわかる。客観的判断にこれほど向く指標はないんじゃない。
もっと詳しく知りたければ下のリンクはおすすめ。

偏差値のお話




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Posted by *clear* at 13:58│Comments(3)受験・進路
この記事へのコメント
各高専の偏差値はどこの情報源ですか?

模試も情報を元にしたものですか?ネット上の掲示板を元にしたものですか?

詳しく知りたいです。
Posted by 福沢 英世 at 2012年07月26日 08:46
>福沢さま

コメントありがとうございます。

各高専の偏差値ですが、これは各都道府県ごとに偏差値を出している、学習塾や学習系サイトの発表結果を集計して、信用度の高そうな数値を基にしています。
2chの情報は当てになるものと、そうでないものがハッキリ出ますが、やはり煽り以外の数値は、私が調査した結果と差があまりありません。

各都道府県別の平均偏差ということですから、当然、全国で比較すれば偏差値に変化はあると思われます。これが影響するのは「商船系高専」だと思われます。他県からの受験生がいますからね。
ただ、この影響力も有名進学校のように、全国から受験されるような学校に比較すれば、影響は小さくなるものと思われます。

>模試も情報

え~と、どの部分に付いてでしょうか?
高専の過去問は高専機構のサイトからダウンロードできますが、今年(24年度)の数学は明らかに難問化しています。
「灘高辺りの」とした意味は、いわゆる「難問校対策問題集」などに良く出る問題に似かよっている、との意味です。
受験難易度は、大分で一般に言われている話です。
受験者数もありますが、数学の足切りに加え、獲得点数がこのような順番であると言われているからです。だからと言って、毎年、この順序であるとも言い切れません。それが「一般的に」と言葉を濁す言い回しになった原因です。

ただ、学力選抜について言える真実は「誰よりも多く点を取ること」は必勝の真実で揺ぎ無いものです。合格ラインの最低点も、正直、毎年変わるものですから、それ以上獲得すれば合格、などとは言い切れません。

もし、福沢さまのお子様(もしかしてご本人?)が高専を志望しているなら、過去問にチャレンジしてみて下さい。
単に「今の学力を知る手立て」だけでなく「今後の勉強の方針」を立てる上で、役立つはずです。

もし、的外れな回答でしたら、ご質問をコメント下さい。
Posted by *clear**clear* at 2012年07月26日 11:42
私の高専の場合、推薦組は一般より劣っていません。

評定が8割以上の人しか受験資格がなく、その中で3倍以上の競争があります。合格者の平均評定は9割以上です。推薦を受ける人は学力的な問題ではなく、「手堅くいきたい」という意志の問題です。むしろ、推薦組の方が中学校のころマジメに勉強している人が多いので留年率も低いです。

そのため高専では20~50%の推薦枠を設けています。

ですが残念ながら50%も推薦枠を設けている高専は、その推薦には偏差値水準を保つための目的しか感じられません。

とはいえそれでも私は推薦は少なからず必要だと思います。

漢文古文世界史日本史は興味ない。でも数学と理科は大好きで、上位1%以内(学年トップクラス)に入っている。

そんな子は一般入試だったら社会国語のせいで入れない。けれど、推薦のおかげでなんとか入れることがある。

そして意外とそういう人が「高専らしさ」を発揮して活躍することが多いです。


雑文ですが、偏差値だけでない高専入試のユニークさも知って頂きたいと思います。
Posted by 高専卒 at 2012年08月02日 19:44
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