2012年05月23日

ガンになる食べ合わせがある件


え~、いきなりセンセーショナルなタイトルでごめんなさい。

オレは先日、食べ合わせのことを書いたんだが、巷ではニュータイプの合食禁が広まっているらしい。
○○と○○を一緒に食べると栄養を壊すか吸収を阻害する。
まぁ、そ~いう組み合わせもあるだろな。
それでだな最近「ベーコンとほうれん草の炒め物」は悪い組み合わせと言われているらしい。
例えばこんな感じで紹介されていたりする。
やんわり無添加マンセーのオーラ出してるし。
で、この組み合わせが悪い理由として

1 ベーコンに含まれるリン酸ナトリウムが鉄分吸収を阻害し、カルシウムの減少を招く
2 ほうれん草には硝酸が含まれていて、ベーコンには添加物として亜硝酸ナトリウムが添加されていて体内で蛋白質の分解物アミンと結合し発癌物質ニトロソアミンになる。

もっともらしいことが挙げられている。

多分、医学的知識や科学知識のない人がこれだけ聞いたら「これからはちょっと控えようかな」なんて普通思っちゃうよな。
確かに間違ってはいないんだが、この話、根本的な部分が間違っているんだよね。

まず硝酸なんだが、大概の食べ物に含まれている。特に野菜には多く含まれていて、硝酸を避けて通れない。加えて言うと日本人は硝酸の多い野菜を嗜好するため、世界平均の約2倍以上摂取している。
更に、我々の体内にも普通に存在する物質である。

ベーコンなどの加工肉に添加物が入っているのも事実。
理由はだね、色を良くしたり味を良くしたり保存性を上げるのが目的。
しかし、問題は添加する量だ。
日本の食品衛生法は非常に厳しい。しかもラットやウサギなどの実験動物で長期間の毒性実験を行いパスしたものしか使えない。
もうひとつ強調しておきたいことは使用許容量だ。
動物実験で毒性が認められなかった量の100分の1が使用の限度量と定められている。つまり故意(と言ってもできないと思うが)でもない限り、人体への影響がないように作られている。
それでも蓄積する、という人がいるだろ。
じゃ、おまいら様には新陳代謝はないんだな?
薬を例にして考えてみよう。
身近な風邪薬は年齢で飲む量が違っているケースがある。
これを成人が間違って子どもの量を飲んだとしよう。効かないよな。
その量をずっと飲んでもやっぱり効かないんだよ。
人体のメカニズムというのはそういうふうにできている。化学物質の作用もそういうふうにしか反応しない。
過剰摂取で弊害があるのはビタミンAや重金属で放射性物質でさえ代謝で体外に出て行く。
ニトロソアミンには確かに発癌性がある。
だが、先にも言ったように使われている添加物の量があまりに少なく、気にするだけムダだ。
発癌のファクターは非常に多い。この物質を避ければ癌にならないのではないし、全て避けても癌になる。
たかがベーコンの添加物ごときでは何も起きない。
考えるだけ取り越し苦労だぞ。

以上のことから、この組み合わせで食べたところで大した問題ではないことがわかる。
多分、このような事が必要以上に意識されるのは漠然と食品添加物に不安を感じる層がいるからだろう。
ところが食品で最も危険なのは食中毒で、家庭での食中毒は飲食店に続いて2位。こっちの方が問題だ。
これからも安心して「ほうれん草とベーコンの炒め物」を食べよう。

このように○○は発癌性物質があるので避けなさい、などという輩や、それを解毒する商品という謳い文句でまるで脅し序に商売している企業がいる。
その多くは「日本は昔に比べて癌で死ぬ人が多くなった」と言い、死因のトップは悪性新生物で、世界的に見てもトップだ、という。
確かにWHOの2006年調査で日本の死因は悪性新生物がトップで30.4%である
イギリス 27.0%、米国 22.8%、イタリア 27.0%、ドイツ 25.7%、フランス 28.2%と日本はトップではあるものの、際立って高いとも言えない。
しかし、日本が癌での死因がトップである理由はあるに違いない。考えられるのは長寿、医療環境といった点だ。

これらの国の中で日本の平均寿命が最も高く、高齢になればなるほど癌のリスクは高まる。しかも日本の医療環境は世界的にも非常に良好で、癌以外の病気で死ぬ確立は低くなっている。
逆に高度な医療を受けられない国々では癌以外の感染症などが死亡の原因になっている。もし、これらの国々も我々のような環境であれば癌による死因が一気に上昇することは想像に容易い。
というかだな、日本を含め先進国のような医療と食生活が送れる国は世界的に見ても少数だという認識ができていない。

それでも健康食品業界、自然食推進団体、添加物反対論者、消費者団体などはまるで癌が増加しているかのような情報を流し、消費者の不安を煽り続け、漠然と人工物は危険と考える人々を生み出している。
そういう人々は情報を正しいか正しくないか吟味したり、何かを決定するときに考えることを避ける習慣のある人のようだ。
では、日本では彼らが言うように癌は増え続け、罹りやすくなっているんだろうか。

まずは厚生労働省が纏めた三大死因の調査資料を見てみよう。
高齢社会の日本では高齢者ほど癌になりやすく死亡率も高くなるので、年齢調整を行ったデータである。

ガンになる食べ合わせがある件
ガンになる食べ合わせがある件

すると、男性は平成7年をピークに悪性新生物が減少、女性は昭和35年からひたすら減少している。
つまり日本人が癌になりやすい、という説や癌が増えているという脅しは間違いである。
それでも癌が身近に多いように感じるのは、罹患率が30%もあるため周囲に癌の話題が満ち溢れているから。
有意に癌による死亡率も高くないデータも引いておこう。
こちらは国立がんセンターのWHO調査データに年齢調整をした先進諸国での悪性新生物死亡率比較だ。

ガンになる食べ合わせがある件

このデータをみれば、いかに健康産業が大嘘吐きかわかるだろう。
日本が「癌大国」のように見えるのは、長寿国で公衆衛生がよく、近代的先進医療を誰もが受けられるからだといえる。
癌が多いことは、それだけ恵まれた環境にいるということだ。
それらを逆手に取って不安を煽り悪徳商法を行うものが後を絶たない。本当ならこういうことに批判するのはメディアやマスコミの仕事と思われるのだが、そういうこともない。むしろ彼等の味方という印象じゃないか。
彼等には広告主へのインセンティブがあるということを忘れるな。
メディアは消費者の味方じゃないぞ。みのもんたもロクなものじゃない、ということを憶えておけ。
自分を守るのは自分だ。
常に論理的で科学的根拠を用いた判断をするべきだが、その基礎は小学校~中学校での教育が非常に大事だと思う。ところが、困ったことに教師の中にもトンデモ科学を信じている方がいたりする。
統計の仕方や見方、それを使った研究の基礎は社会科の授業が重要な位置にあるはずだが、先生自身が統計の真偽を確かめず鵜呑みにするようではお先真っ暗だ。

もう20年以上前のことになるけど、知り合い程度の人から突然電話があった。
何事かと思うと「ある会場に一緒に行ってくれ」と言う。
話を聞いていて良くある「健康食品」絡みのネズミ講だとわかった。オレはしないよ、と言うのだがノルマがあるらしいので顔を立てる心算で行くことにした。
会場ではナントカ支部長とかいう人がこの○○に出合ったキッカケや何故健康食品は必要なのか熱く語るのだよ。
オレは黙って聞いて帰る心算だったのだが、いつもの悪いクセが出て来て、どうにもたまらず、つい「質問」と手を上げてしまった。
「先ほどご説明の中に、現代の野菜は昔に比べ栄養が半分以下、という説明がありましたが、それは農水省などの信用できるデータに基くものでしょうか。もしこの会場で何時と何時のデータを比較した、とご呈示頂けるのでしたらお願いできますか」
オレは気がつくと数人の幹部と思しき人に囲まれ、トットと会場からつまみ出されてしまった。
この手のギャグは彼等にウケなかったようだ。面白いと思ったんだけどなぁ。

これくらいならオレの武勇伝で済むトコなんだが、なんせこの手の話はお金が絡んでるんで「お茶目さん」では済まない。
それだけじゃない。
現代医学や現代治療を必要以上に否定して、我流の健康論のみを信奉するあまり、アレを食うな、とか紙おむつはダメだ、とか言うだけに留まらず、ステロイド危険説や予防接種の否定にエスカレートし、周囲の人々を巻き込むことがしばしばだ。
ホメオパシー、マクロビオテック、○○セラピーetc 本人だけが自分の思想を貫いているのなら、迷惑を掛けない限り問題じゃない。無視をすればいいからだ。
しかし、発言権の弱い子どもは別だ。ベジタリアンの親が子どもを栄養失調で死なして逮捕されたケースは度々報道されている。
コヤツらの話は一見科学を装っていて、いきなり宇宙の波動やら啓示やらチャクラだとかオーラだとか太古からのエネルギーだとか、もう何の脈絡もないギャグがくっついている。本人たちは科学の心算らしいが、周囲から見ればオカルト集団か不思議ちゃん。
今回の「ベーコンとほうれん草有害説」も自分がそう思って避ける分には良いけど、さもありなんとネットに発信することによって誤った情報がコピーされていく。
せめてだな、裏付けを取ってから記事にしろよ。裏を取ったら記事にしないか(笑)
オレの心配はだな、下手すりゃまたオウム真理教みたいなことになっちゃうんじゃないかと思うのよ。
スピチュアル系の団体には一種の宗教めいたものを多々感じるんだよ。
とにかくアノ辺の言ってることはアタマ疑うようなことが多過ぎるってことだけは確か。

癌というものが、むしろ生物本来の営みとも考えられる。
生物は生まれたときにいずれ死ぬ、ということがわかっている。それを様々なファクターが決定しているが、癌という設計図のコピーミスが生命の終わりを出そうとしているのではないか、そんなふうにも思えてくる。
考え出すと気になって、オレは夜しか眠れなくなる。

以下のリンクから発癌物質と発癌環境のリスクをみると、普通に生活していても癌になる可能性は非常に高いといえる。
我々はどのような方法を用いても癌を避けられず、それは昔からあったリスクということを再認識すべきだ。
IARC発がん性リスク一覧




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Posted by *clear* at 14:57│Comments(0)日記
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